「我が弟子たちへ」 貴乃花がつづった『弟子と相撲への愛』に心打たれる

2017年11月に報道された、大相撲の元横綱・日馬富士が貴ノ岩に暴行を加え、負傷させた問題。

同月29日、日馬富士は貴ノ岩への暴行を認め、日本相撲協会による処分の決定が下る前に協会へ引退届を提出しました。

この件について、日本相撲協会理事であり、貴ノ岩の師匠である元横綱の貴乃花親方は、報道陣の取材に応じない姿勢をとっています。

江東区にある相撲部屋『貴乃花部屋』に詰め寄る報道陣を前にしても、無表情で無言を貫いた貴乃花。

この対応に対し、一部のメディアからは「都合が悪いから黙っている」「弟子への愛がない」という貴乃花に対するバッシングも耳にします。

貴乃花がブログにつづった『我が弟子たちへ』

そんな中Twitterでは、貴乃花のブログに投稿された記事が話題になっています。

投稿は2013年のものですが、いまも変わらぬ『相撲への愛』と『弟子たちへの想い』がつづられています。

今日から五月場所が始まった。
一日を終えて勝ったものも負けたものもいる。
地位も違えば性格も違うから、悔しがっているものも、ホットしてるものもいるだろう。
始まったばかりで言うのもなんだけど、全力を尽くしてやるだけやってくれればいい。
数字的な勝敗も気になるとこだが、そんなことより君たちが生きてきた証を土俵の上で堂々と見せるだけでいい。
焦らず、怯まず、躊躇わずに、今まで君たち一人一人に教えてきたことを頭に浮かべて、まっすぐな気持ちで戦いに挑めばいい。
この世は一切皆空である。
人が思い描けるほどその通りにはいかない、難しい社会がそこにはある。
だから、若いのだから怖がらずに戦ってほしい。

親方はこの道の本職だ! 戦い方は知っていて、戦わせ方も心得ている。
一念通天、一つの思いは天にも通ずる。
そうやって親方は人生を掴んできた。それ以外の考えはなかった。
土俵に上がり体と心を震わせながら、臆病な自分に負けじと戦ってきただけだ。
青春も涙も味わったことはないけど、今は君たちの取り組みを見るたびに涙が止まらない。
だから他にはなにも要らない、ただただ運命を超えた涙を味わってほしい、それだけだ!
「自分がここまでやれたんだ」と感じられるだけでいい。
親方がついている。一緒に土俵にはあがってやれないが、親方は命を懸けて見ている、不惜身命で見ている!
それぞれ得意な技があるけれども、戦いに最も必要な業は『諦めない気持ちで挑むこと』だ!
相手が大きくて強いと思うほど、自分から目を離さずに、相手からも目を離さずに戦うことだ。そうすれば勝利の女神がどこかにいてくれる。
自分が怖くなった時こそ、向かい合う相手に仁義を通し、睨み付けていけばいい!
すべての君たちの取り組みを替わってやれるものなら替わってあげたい。
一騎当千であるつもりだよ!

親方は相撲のことしか知らないけど、相撲のことしか詳しくはないけど、師匠から相撲の哲学を学び、必死で身に付けた。
毎晩腹の底で泣きながら、心とからだを鍛えてきた。
門限を過ぎたら気を養うように寝ていた。自分が生きていることの実感を知りたくて。
布団に入る時だけがその時だった。
布団に横たわるまで死力を尽くして生きてみたい、と思いながら毎日を暮らした。
誰彼に良く思われようなんて考えたこともなかったよ。
喧嘩っぱやかったし、怖いもの知らずだった。
でも今は君たちの取り組みを見るのが怖い、ただただ怖い。
でも歯を食いしばって見つめているんだ。神様をも味方につけようと思って。
それでも神様が味方してくれなかったとしたら、親方が受けて立つ思いで見ている。
神様を敵に回しても親方はなにも怖くないさ。 ただ、君たちが怪我をするのだけがすごく怖い。 神様は居るようでいないものだよ。居るとしたら、君たちの守護神は親方さ。 君たちのためなら、例え世界中の神様を敵に回したとしても、なにも臆することはない。 もしも神様が君たちの命を奪いにくるのであれば、親方が奪い返す。 親方は相撲しか知らない。相撲は詳しい、負け方も勝ち方も心得ている。 しかし君たちには勝たせることしか教えない。命懸けで勝たせる。 心が倒れそうな時には立ち止まって踏ん張れ! そこにいればいい。敗けを知れば勝ちを知る。その方法は親方が知っている。 先代から与えられた哲学と自分で培った勇気がある。 その勇気の中には綺麗なものも汚いものもすべて入っている。

来るとこまで来たらこっちのものだ!

親方が教えた五進術は全員に教えている。言い方は違うけれども一視同仁だ。
これは君たち以外には教えない!
その答えは、師資相承の中にある、絆という掟の中だけにある。

男には男の道がある。
力士には力士の道がある。

この国を今後は亡き親方に代わり伝承せよ!
先祖伝来の牙城を守り抜け。

貴乃花親方からのメッセージ ーより引用

・貴乃花は、弟子たちのことを子ども同然だと思っているんだなあ。熱い想いが伝わってきた。

・この人の心のまっすぐさは、本当にすごいと思う。「何をいわれても信念は曲げん!」みたいな。

・これは相撲の話だけど、自分もこういう気持ちで子どもを育てていきたいと思った。

・愛する弟子と相撲、両方に泥を塗られたらそりゃ激怒するよな。

・やっぱり、貴乃花は最高の横綱だ!

ブログの記事の内容が拡散されると、ネット上では多くの人から貴乃花を称賛する声が上がりました。相撲について詳しく知らなくても、熱い想いに心うたれた人が数多くいるようです。

きっと貴乃花の気持ちが、この文章にまっすぐにつづられているからこそでしょう。

『力士道』と『人の道』に忠実に生きる貴乃花

若乃花と共に『若貴フィーバー』と呼ばれ一大相撲ブームを巻き起こした貴乃花。後に第65代横綱に昇進し、2003年に引退しました。

翌年、貴乃花部屋(元・二子山部屋)を継承し親方になると、自らの技術や信念を元に、数々の力士を育て上げました。

貴乃花部屋ウェブサイトには、『貴乃花部屋 訓示』として以下のようにつづっています。

一、力士道に忠実に向き合い日々の精進努力を絶やさぬ事

二、人の道に外れないよう自身を鍛え勝負に備える事

三、弱き者を援け強き己を築き上げる事

四、先輩と後輩の秩序を守り信念を汚さない事

五、先輩は後輩を見守り後輩は先輩を敬う事

六、勇気 元気 活気 生まれ持つ気質を鍛える事

七、授けられた命ある限り生涯を懸けて進路を全うする事

八、人を妬むことなく己の心と常に闘い研磨する事

九、三六五日を鍛え三六五日以後に結果を求めない事

十、努力に勝る天才はなし!
善の心は良き己を支配し新しい明日を開拓する
冷静さと深さを追求し川の流れのように静けさと
激しさを兼ね備えて自然体である事

貴乃花部屋 ーより引用

「『力士道』と『人の道』に恥じぬよう生きるべし」…力士としてだけではなく、人としても育てるため、貴乃花は弟子たちにそう説いているのでしょう。

貴乃花の『我が子』を想う気持ちと、ひたむきな生きざまに、胸が熱くなるばかりです。